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算数・数学

21. 数学者 岡潔先生(2)

 

岡潔先生に直接お会いしたこともないのに、私の人生において、岡先生は本当に大きな「師」でした。私の人生を大きく動かして下さった方でした。

 

話は、高校の頃にもどります。

 

強力な磁石に引き寄せられるように、岡潔先生にぞっこんになった私が思ったことは、「すごい! 数学というものは、こうやって自分の人生をかけるに値するものなんだ!」ということでした。

 

そして、それまで、「空飛ぶ円盤をつくる」という夢に向かって突き進んでいた私が、たちまち、「岡潔先生の論文を読みたい」と、こちらを人生の目標にするようになったのです。

 

しかし、いきなり論文が読めるわけがありません。

でも、少しでも岡先生に近づきたい!!

 

そんな私がしたことは、岡潔先生のほかの著書を探すということでした。

講談社から『日本のこころ』が出版されているのがすぐに見つかりました。早速買ってむさぼるように読みました。

 

そして、その巻末の出版案内で、『月影』や『風蘭』が講談社現代新書から出ていることを知りました。

 

早速、自転車で1時間半ほど走ったところにある町の大きな本屋さんへ行って、注文しました。

 

さあ。それから、待ちました。待ちました。ちょうど夏休みでした。首を長くして、本屋さんからの電話を待ちました。

けれども、1週間がたち2週間がたち、もうお盆を過ぎる頃になっても、一向に連絡はありません。

 

 

そこで、私は待ちきれなくなって、炎天下、また自転車をこいでその本屋さんへ行ったのでした。注文伝票を見せながら、

「これ、まだ入ってないんでしょうか?」

すると、しばらく伝票を探していたお店の主人が

「それ、もう絶版だねえ。」

「え?」

 

まだ絶版ということの意味を知らない私が、お店の主人から、もはや手に入らないんだということを聞いたときのショックは、今でもありありと覚えています。

 

 

 

 

 

その後、私は、『春宵十話』と『日本のこころ』を、ページが擦り切れるくらい何度も何度も読みました。

 

 

そして2年後、大学の理学部数学科に入学を果たした私は、『月影』や『風蘭』との思いがけない「出会い」を果たすことになります。

 

 

                  (続く)

 

07.「算数・数学が分からない」ということの意味

06. 数学者 岡潔先生(1)

 

 

 

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