T O P
| 基本理念
| コ
ラ ム
| 教 材
| Q & A
| お問い合わせ 算数・数学 06. 数学者 岡潔先生(1)
|
|
||||
人の中心は情緒である。情緒には民族の違いによっていろいろな色調のものがある。たとえば春の野にさまざまな彩の草花があるようなものである。 私は数学の研究をつとめとしている者であって、大学を出てから今日まで三十九年間、それのみにいそしんできた。今後もそうするだろう。数学とはどういうものかというと、自らの情緒を外に表現することによって作り出す学問芸術の一つであって、知性の文字板に、欧米人が数学と呼んでいる形式に表現するものである。 |
|||||
|
|
||||
数学教育について一言したい。数学は人の心からとって知性の文字板に表現する学問・芸術の一種である。したがって心の中にある数学を開発することが数学教育の任務である。しかし、今の教育を見ると、数学というものをわかって教えているのだろうかと疑わずにおれない。 (中略) 数学教育の目的は決して計算にあるのではない。かたく閉じた心の窓を力強く押し開いて清涼の気がよく入るようにするのにあるのだ。数学教育は大自然の純粋直感が人のこの情緒の中心によく射すかどうかに深くかかわっているのであって、計算が早い、遅いなどというのは問題ではない。私たちは計算の機械を作っているのではないのである。 数学の教え方としては「よく見きわめて迷うところなく行ない、十分よく調べて結果が正しいことを信じて疑わぬ」ようにさせるのがよい。(後略) |
|
||||
|
|
||||
|
|