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算数・数学

13.「興味関心意欲の法則」の使い方 (1)

     (大学の試験でオールAをとる方法)

 

 

この法則の名前は、数学教育アカデミーが名づけたものです。

『秘法 スーパーらくらくスタディ 直伝編』の理論編の最初に出てきます。

 

そもそも、私が数学の勉強において最初にこの法則を意識し始めたのは大学1年のときでした。

このコラムでは、その体験をお話することによって、この法則の紹介をしてみたいと思います。

 

 

 

 

私は、この法則のもととなるものとは、もっと早くに出会っています。

ジョセフ・マーフィの『眠りながら成功する』という本でした。大島淳一さんの訳で、昭和48年の24版です。すこし、それに触れておきたいと思います。       

         

原題は、『The Power of your Subconscious Mind』(潜在意識の力)。

 

 

当時私は中学生でした。

これを読んで、「潜在意識」という言葉を始めて知りました。そして、「潜在意識に受け入れられたことはすべて実現する」という驚くべきことも始めて知りました。

 

 

当時、「そうだ!」と思うところにはバンバン線を引きながら読んでいました。この本が真っ黒になるくらい線を引いたイメージがあります。今手元にあるので、見てみると、思っていたほど真っ黒ではありません。

 

 

「肝心なのはくつろぐということです。のんきにやりなさい。最後の結果を確信することです。その問題の大団円を実感するようになることです。」

「くつろぐことによって潜在意識に刻印がなされ、そうするとその考えの背後にある力学的なエネルギーがそれを引き受けて具体的に実現することが可能になります。」

「願望が実現にかなえられている情景を創造し、それに伴うぞくぞくしたような気分を味わうならば、潜在意識はあなたの願望を実現させてくれます。」

 

 

今、パッと開いたところの、何十年も昔に私自身が線を引いた箇所を引用してみました。懐かしいです。

 

 

当時の私は、早速これをいろいろと応用してみました。

 

 

たとえば、なくし物をしたとき、それが見つかって喜んでいるところをイメージして眠りにつくと、次の日の朝、どこに置き忘れていたか、はっきり思い出していました。

また、目覚まし時計をかけずに、眠りに入る前に起床する時刻の時計をイメージして眠りにつくと、ちょうどその時刻に目が覚めます(今でも出張に行ったときはこれを使います)。

こういう小さなことで、「なるほど、本当に潜在意識ってある」という実感の深まった頃、クラス替えの季節になり、ある友達といっしょのクラスになるところを毎日イメージしていると、いざ学年が変わって学校へ行ってみると、ジャーーン! そのとおりその子と同じクラスになっていました。「やっぱり!」と思ったものです。

 

 

最近こそ、右脳のことや霊的なことがメジャーになってきていますが、当時はこんなことを言っていて、親から真剣に心配されたこともあります。

 

 

ただ、この本の本当に大切な事は、第16章「潜在意識と調和的人間関係」だったと私は思っています。この本を読んで、私は、聖書マタイ伝第7章に出会い、「汝ら他人を裁くな」の意味が分かりました。

自分が出したことはすべて自分に返ってくる。このことが、科学的な知識としてよく理解できたのです。

私は、子供の教育に、この視点がとても大切だと思っています。

けれども、この稿のテーマからは外れますので、機会があれば別に述べることにして、話をもとに戻します。

 

 

 

 

 

さて、私が大学1年のときのことです。前期試験の時期がやってきました。

実は、私は大学に入ってから、自分の受けるべき講義以外にもいろいろ「探索」して、3回生のある代数の講義が面白いので、そっちの方を受けたりしていました。

それで、試験の前になって困りました。肝心の自分の受けるべき講義をろくに勉強してなかったのですから、試験までの何日かでそれをやらなければならない。ちょっと、気が遠くなる気がしました。この大学は、1回生のとき関門科目を落としたら留年しなければならなくなるのです。

「もうやるしかない!」

それで、どうしたかというと、大学生協で落書き帳をどっさり買ってきて、図書館へ行き、とにかくバンバン書いていったのです。テキストだったか、友達に借りたノートだったか忘れましたが、初めからとにかく、太字のボールペンでバンバン書きながら、頭に入れていきました。

何日もこれを続け、試験は無事終わりました。

 

 

 

さて、現在数学教育アカデミーで《情知意サイクル》を説いていますが、これに当てはめて言えば、上のことは《意》に当たります。

当時、そのような概念は持っておりません。ただもう若さの持つエネルギーで、意志の力でガンガンやったのです。《情知意サイクル》でいえば、《意》のみならず、《情》《知》もすべてを意志の力のみで強引に進めていったのです。

試験はこれでいけることが分かりました。

 

しかし、とにかく、しんどすぎる。

「もっとなんとかならないか?」と、当時の私は、勉強のしかたを考えていました。

試験をもっと楽に乗り越えることはできないものか?

 

結論を言えば、「ある!」のです。そのような勉強の方法が。

すなわち、らくらくと、試験に合格できる勉強の方法が。

 

 

(それを、みなさんに紹介するのがこのコラムの目的なのですが、ここまで述べてきたような書き方を続けると、本が1冊出せてしまいます。

「動機」と言うものが大切なので、ここまではていねいに書きました。

ここからは、結論だけを、述べましょう。ただし、具体的にするために私の経験をもとにお話しますので、やはり少々は長くなります。)

 

 

 

 

らくらくと、大学の数学(英語でもなんでも同じこと)の試験に合格できる勉強の方法とは。

 

潜在意識の力を使うのです。それが、「興味関心・意欲」の法則です。

 

これも、くわしく述べればそれだけで1冊の本になるでしょう。この法則そのものの概略は『秘法 スーパーらくらくスタディ 直伝編』で説明しましたので、ここでは繰り返しません。

 

 

 

 

私が使った方法とは、ひとことでまとめれば、

「興味関心・意欲」の法則を使って《情知意サイクル》の《情》の扉をたたき、次第に意志の力へと橋渡しをする

ということになるでしょうか。

 

 

 

そこで、以下に、私の体験のお話を続けながら、この法則について具体的に紹介してみたいと思います。

 

 

 

たとえば、関数解析のところ。これは専門課程に入ってから学ぶのですが、私は、神保町の明倫館書店で、関数解析について書いてあるらしいフランス語の古本を買ってきました。そして、それを眺めます。第2外国語はフランス語を取っていました。まじめに2年間勉強したので、数学書なら、一応読めます。読んで意味は分かるということです。ただし、時間がかかります。その点、英語の本の方が読みやすい。もちろん、日本語はもっと読みやすいわけですが、あえてフランス語の本にします。

これ、なぜか、わかるでしょうか?

読んでいると、「fonction」と言う単語が出てきます。「関数」のことを英語では「function」といいます。それで、「ああ、たぶんこれは関数のことだな」とすぐに想像できます。辞書は使わないところがミソです。

さらに読み進んでいく(読むというよりは眺めるといったほうがいいかも知れませせん)と、「fonctionnels」とか「fonctionnelle」という単語が出てきます。「あれ?これはさっきのfonctionとは何が違うのかな?

たとえば「l’espace des  fonctions」だったら「s」はついているけれど、これは「関数」そのものだ。同じように、「fonction」が形容詞になって変化しているのなら、その実体は「関数」そのものということになるけれど、この場合どうなんだろう?

当時の私のフランス語力では、まだこのあたりの読み取りに時間がかかるのです。

 

まさにその不自由さこそが私にとって大切だったのです。

 

ここに大きな秘密があるので、もう少し続けてみます。

 

読み進めると、「d’une  fonctionnelle  lineaire」というのが出てきます。あれ?これはどう変化したとしても、「fonction」とは別物みたいだぞ。いったい、この「fonctionnelle」ってなんだ?

 

こんな感じです。

 

 

つまり、「不自由さ」があるということは、何だろう?ああだろうか?こうだろうか?といろいろと想像する「余地」があるということです。

 

大切なのは、これを「楽しむ」ということなのです。

 

ここが、とても微妙なところなのです。

 

同じ、fonctionnelleという単語を見たとしても、感じ方はさまざまです。「難しそうだ、イヤダーー!」という感じ方をすることも、「なにやら分からんけれど、面白そう!」という感じ方をすることも、それらの感じ方をする「主体」は私たち自身です。

 

そこで、あえて、後者の感じ方を、意識して自分でやってみるのです。あえて、「面白そう!」と思ってみるのです。

 

そのとき、「リラックス」が必要です。

 

そのために、ある種の「不自由さ」が効を発するのです。ちょうど小公女セーラや赤毛のアンが、あの満たされない環境の中で想像力を駆け巡らせていたように。

想像力の翼は、何か満たされてない環境の中で、その自由な飛翔の力を発揮します。

 

 

上の私の例では、不十分な読解力という「不自由さ」を持って「fonctionnelle」という単語に出会ったことにより、そこに、

fonctionnelle」の 正体が知りたい!

という私の内なる欲求が生じます。

 

これが、「種を蒔く」ということなのです。

 

 

このとき、「fonctionnelle」の正体については、一つの疑問として、疑問のままで残しておいてかまいません。

 

 

 

この本は、『ANALYSE  FONCTIONELLE(M.Paul  LEVY)という薄ピンク色の表紙の本ですが、300円くらいだったのではないかと思います。全部は読んでないし、気の向いたところしか精読はしてないのですが、十分にこの本は私にとって意義があったといえます。私に、「fonctionnelle」との出会いをくれた本だからです。

 

 

何日か後に、大学の図書館で、今度は英語の本を探します。そして、ページをくってみると、「functional」という単語があり、フランス語より読みやすいので、確かにこれは「function」とは別のものだという確信が持てます。

ここにも、「正体を知りたい」という私の内なる欲求があることにご注目ください。

先日蒔いた種に水をやっているのです。

 

 

こうして蒔いた種がある日「芽」を出します。関数解析の講義を聴いていて、先生がきちんと黒板に「functional」の定義を書いてくれたとき、「ああ。そういうことか!」とその正体の一端が見えたときです。

 

 

 

ここまでが、《情》です。

 

講義が進みます。講義はきちんと受けてノートをとります。そして、他の定義や定理や公理などをどんどん系統的に仕入れていきます。《知》です。

これは結構大切です。講義を見て聴いてノートに書くということで、それだけですでにフィードバックのサイクルを何重かに回しているわけです。しかも、記号化してくれていますから能率的です。サボったりしていたら、実にもったいないわけです。

 

下宿に帰って、その日の講義を思い出しながら、別のノートに書いて整理していきます。《意》です。

試験前には、この《意》を繰り返せばいいのです。

 

 

講義をろくに聴かずにピンチにあった1回生のときとは別人のように、3回生の時には、らくらくと試験はすべて「A」(優)でした。

田舎の母がその成績通知を見てたいそう喜んでくれたものです(親というのはありがたいものです)。

けれども、大学の試験でオールA(優)をとることは簡単なことだということが分かった私にとっては、そんな大したことだとは思えませんでした。

はじめに述べた、中学時代の、目覚ましをかけずに目を覚ますのと同じようなものでした。

 

 

 

 

こういう体験があるので、私には、

正しい方法で算数や数学を勉強すれば、どの子も必ず分かりできるようになる

ということが断言できるのです。

 

その「正しい方法」として、ここでは、《情知意サイクル》「興味関心・意欲の法則」を紹介しました。

 

 

※    ※    ※    ※  

 

 

 

ちなみに上の私の例で、それでは、あの種から芽が出て大きくなって、さて花が咲いたのはいつなのでしょうか?

試験で「A」(優)がとれたのは、まだ茎が大きく伸びている段階です。

 

4回生になって、ゼミでM先生が「Hahn-Banachの定理の図形的な意味はこういうことです」といって、黒板に大きく3次元のグラフを書いて説明してくださったことがありました。

それを見て「ああーー。そうかーー!」と、すごく快哉を叫んだものです(もちろんそのときは心の中で)。ひとつの感動です。今振り返ってみると、ああいう瞬間が、一つの「花」が咲いたときだったように思います。

(このM先生はよくこういう感動をさせてくださいました。解析の多変数関数の微分や多重積分のところなどでも、一コマの講義が感動でした。)

 

 

 

 

※    ※    ※    ※  

 

 

 

 

私の、上の体験ですが、もともと数学の勉強は「定義」から始まります。それを「芽が出る」ことに喩えました。

ところで、その「芽が出る」以前の、種を蒔いてからのことをすごくくわしく述べていることにご注目ください。

 

そここそが、「興味関心・意欲の法則」を使っているところです。潜在意識に、「興味関心」という種を蒔いているのです。

 

この種が、「意欲」の芽を出してからは、成長は力強いものです。

 

「らくらくと試験で合格する」といっても、努力は必要です。決して、ブラブラしていていいのではありません。でも、いったん、興味関心という種が潜在意識に植え付けられると、意欲として必ず返ってきます。この勢いに乗っかって進める学習は、まさに「らくらく」と進められるのです。

 

 

 

 

 

 

※    ※    ※    ※  

 

 

 

 

 

私は、大学を卒業して社会に出るときに、数学の研究の道は捨てて教育の道を選んだことを、以前に書きましたが、大学での4年間の勉強は、現在の数学教育アカデミーの土台となっています。

 

 

 

今回書いたのは、大学生向けの、「興味関心・意欲の法則」の使い方でした(副題:大学の試験でオール「A」(優)をとる方法)。

 

この法則は、子供の発達段階によって、使い方は微妙に違ってきます。

思春期の子供に対しては?

小学低学年に対しては?

幼児に対しては?

赤ちゃんに対しては?

 

これらについても、また稿を改めて触れていく予定です。

 

 

14.「興味関心・意欲の法則」の使い方(2)(小学校〜思春期)

15.「興味関心・意欲の法則」の使い方(3)(赤ちゃん〜幼児期)

 

 

 

 

          

 

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