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算数・数学

04. 教え方 分数その4(分数の割り算)

         『おもひでぽろぽろ』に学ぶ A

 

『おもひでぽろぽろ』の、タエ子の「分数事件」に心を尽くして関わってみたいと思います。

 

 

 

 

 

姉  「分母と分子をひっくり返してかければいいだけじゃない。学校でそう教わったでしょ?」

タエ子「う、ん。」

姉  「じゃあー! どうして間違ったの!?」

タエ子「分数を分数で割るって、どういうこと?」

姉  「え?」

そこで、タエ子は紙をとってりんごの絵を書きます。

                          

タエ子「 個のりんごを  で割るっていうのは、

 個のりんごを4人で分けると1人何個かってことでしょ?

 

 

 

 

 

あなた「すごいわねえ。タエ子ちゃんは、(分数)÷(分数)の意味から考えていたのねえ。エライわ。それで、学校では教えてもらわなかったの?」

タエ子「うん。」

あなた「じつはね、 個のりんごを  で割るっていうのは、

 個のりんごを4人で分けると1人何個か

ってことじゃないのよ。」

タエ子「えーーっ? じゃあ、 個のりんごを で割るってどういうこと?

 

あなた「うん。それじゃあ、(分数)÷(分数)の意味をりんごで考えてみようね。

ただしネ、 個のりんごを  で割るっていうのは、これは難しいのよ。

リンゴで考えて答を出すのは、大人だってすぐには分からないわ。

こういうとき、つまり難しすぎて意味が分からないときは、やさしいものに制限して考えるってことが大切なの。

そこで、 個じゃなくて1個のリンゴにしてみようね。いいかな?」

タエ子「うん。わかった。1個のリンゴをで割るって考えてみるのね。」

あなた「そうそう。そのとおり。さあ!で割るってことの意味は分かるかな?」

タエ子「ええっと。1個のリンゴをで割るっていうのは、

1個のりんごを4人で分けると1人何個かってこと…、かな?」

 

あなた「じゃ、ないのよ。 そこで、もっと簡単な場合を考えてみようね。8÷2はどうかしら?」

タエ子「4よね。これなら簡単だわ。」

あなた「それを、リンゴではどう考える?」

タエ子「8個のリンゴを2人で分けると1人何個か…、でしょ?」

あなた「そうね。ところが、ここでは、別の考え方をするほうがいいのよ。この割り算の意味をリンゴで考えると、2通りの考え方ができるの。タエ子が言ってくれたのはそのうちの一つね。もう一つ別の考え方は、こうよ:

    8個のリンゴを2個ずつお皿にのせていくとお皿は何枚必要か?」

 

 

 


タエ子「そうか。そういう考え方もできるんだ。」

 

 

 

※     ※      ※

 

 

まずは、タエ子の疑問をしっかりと受け止めてあげることです。

そして、姉との会話の中でタエ子が提出した「間違い」を、はっきりと指摘してあげることです。

その上で、正しく導いてあげることです。

 

 

上のところまで誘導してあげれば、「ああ、そうか!」と手を打って、1÷も、 ÷ も、自分で正しい意味をつかめるかもしれません。

 

もちろん、そこから、 ÷ の答を出すまでにはまだまだ遠い道のりがあるのですが、少なくとも、

個のりんごをで割るってどういうことか、全然想像できないんだもの。」

と言わなければならないような状況は脱することができるのです。

 

すると、これまでは何がなにやら分からなくてただ混沌としていた世界が、霧が晴れます。そして、頂上はまだまだ見えないけれども、前へ足を踏み出すことはできるようになるでしょう。

 

 

 

ただ、我々は、まだまだ手放しでタエ子を山頂に向かって送り出すわけには行きません。迷いの森に入り込まないように、導いてあげなければならないのです。

「リンゴによる意味づけ」は1÷、1÷などで止めておくか、もう少し進めたとしても、せいぜい2÷ 程度までです。

それ以上は深入りせずにストップをかけて、そして、別の正しいルートへ誘導してあげることが必要です。

 

この分数の割り算のところは、このようにして、かなり先まで一緒に歩いてあげることが必要です。

 

 

 

 

実は、これは、学校の教師や塾の講師でも正しくはなかなか指導できません。指導法がその教師や講師個人に任されるなら、かなりの力量がなければ指導しきれないのです。

また、初めからやり方だけ教え込んで、その後の計算のスピードアップのみを習熟させるという指導法を採るならば、いかにそこが大手の実績ある塾や教室であったとしても、数学のリズムに触れさせるのは、畑違いの無理なことです。

さらに、数論を専門にする大学教授にも、たった2,3行で説明が終わるところをいったいどうやって小学生に理解できるように進めたらいいのかが分からないでしょう。

 

 

数学の追究と、小さな子供へのかかわりの両方の体験がなければむりです。

 

 

 

でも、ご安心ください。《スーパーらくらくプリント》を使えば、山頂に到る正しい道筋が分かります。さらに、《スーパーらくらくプリント》は、この「分数の割り算」だけで100枚強のプリントを使います。こうすることによって、子供たち誰もがらくらくとこの道を登っていくことができるようになります。

 

 

このコラムは、小学校6年生のすでに学校で分数の割り算を勉強し終えたタエ子を相手に、同伴しています。

けれども、《スーパーらくらくプリント》は、始めて分数の割り算を学ぶ小学2〜3年生を対象にしてつくってあります。

そういう小さな児童にも、この道は登っていけるのです。

 

 

ただし、困難な内容のところであるだけに、子供がつまずくこともあります。そのつまずいた時こそが一回生起の大切な時であると受け止めて、目の前の子供に心を尽くして関わっていきましょう。

 

 

 

このあとは、専用コラムをご覧ください。

専用コラムでは、上のタエ子への同伴を続けてみます。

(《スーパーらくらくプリント》も、ほぼ同じ進み方をしていきますから、参考になるでしょう。)

 

 

 

 

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