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算数・数学

 23. 日本の教育の展望は?(3)

 

 

ゆとり教育の結果、「学力が落ちた。」と非難が集まりました。そして、今度は逆のぶり返しに入ることが、決定されました。

 

しかし、明るい展望はありません。またしても、行き当たりばったりだからです。

今後どうなるのか、ちょっと予想してみましょう。

格差は一向に縮まらないでしょう。教師の授業の質は落ちるでしょう。そして、わからない児童生徒は分からないまま放置されるでしょう。

20年前とはまた違った、暗く重たく閉塞したエネルギーが、校内暴力となって吹き荒れるようになるでしょう。そうなって初めて、大人は気がつくのでしょう。これではいけないと、

すべて大人の責任です。求める者に真のものを与えようとしなかった、大人の責任です。

 

 

 

算数・数学に話を移しましょう。

 

中学校に入力した生徒に「算数が好きだったか」を聞くと、大半の生徒は「嫌い」だったといいます。「どうして?」と聞くと「割合が分からなかった」。「文章題が分からなかった」と答える生徒が多いのです。

今ここに1冊の教科書があります。『わくわく算数』という啓林館の小学校5年生の教科書(下)です。平成18年度用です。ここで割合を学習するようになっています。その教科書の名前の通り、わかりやすく楽しく構成されています。

しかし、です。これを見て私は思います。「ああーー」と。子供がわからなくなって当然であるからです。なぜならば、教えなければならないことが多すぎるのです。ここまでやる必要はありません。「割合」がなんたるものか。その概念が分かって、簡単な場合に利用できるようになっていればいいのです。割合で割ってもとにする量を求める問題は、小学校ではやる必要はありません。

そういう問題は中学校で、代数の基本をやったあと、やればよいのです。代数処理をしていけばよいのです。単位が入った文章題についても、小学校では、子供が「分かった」という感触を持つことが大切なのであって、難しい問題をたくさん入れて、落ちこぼれ感を児童に味わわせることはしてはなりません。小学校では伸びやかに体験を積むこと。情的に分かること。考える楽しさを味わうこと。そして中学校では十分な時間をとって、代数的処理能力を高めていくこと。こうすることが大切なのです。

 

 

 

 

子供たちの声は当然だなぁと思います。ゆとりを謳った教科書でこれなのだから。全然ゆとりではなかったのです。だから、学力はつかなかったのです。

 

今後、学習内容を増やしたからといって学力がつくはずはありません。詰め込みにすればするほど、格差は広がるだけです。

学習内容をスマートにするべきです。小中一貫してして無駄を省き、精選してスッキリさせるべきなのです。現在の指導要領の構成は複雑すぎるからです。すっきりしないからです。これだと児童は分からなくなるでしょう。そして嫌になるでしょう。

 

 

 

 

子供たちが「よく分かって楽しい」と目を輝かせるような授業。そんな授業ができるならば、中学校に入学した時、「算数が嫌いだった」という生徒が大半を占めるようなことにはならないでしょう。「算数がよくわかる。」「数学がよくわかる。」「授業が楽しい。」と子供達が自然と言えることがいちばん大切なことなのではないでしょうか。

 

本当に学力をつけるためには、子供達が「わかる」という感触を持つことが、なによりも大切なのではないでしょうか。ゆったりと進めるだけの授業時間の確保と、教師の教材研究の確保が必要です。総合的な学習の時間は、廃止にするべきです。これを入れたために、算数や数学の授業時間数が減ったのだから。また、これを入れたために、教師の忙しさが体操し、教材研究をするゆとりがなくなったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

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