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032.授業時数から見える問題点

 

公立中学校の数学の授業が、2年生をのぞいて週4時間になりました。

良い点と悪い点を述べましょう。

良い点は、これまでは1年生も3年生も週3時間だったのです。それが週4時間になったのですから、これは何よりも良かった!

悪い点は、証明や一次関数の出てくる2年生の授業が、週3時間しかないことです。

 

4時間と週3時間の違い。それは非常に大きいのです。

何か行事があるときには、学校では、「特別時間割」というのを組みます。そのとき、本来何曜日の何時間目にあるはずの授業がなくなってしまうことになるのです。その時間が数学だったらどうでしょうか。

 

もしも週3時間だったとすると、そのクラスは、その週に、数学が2時間しかできないということになります。50分授業をです。

定着度は非常に悪くなります。

 

また進度の関係で、遅れすぎてはいけないので、内容を進めなくてはなりません。これが、週3時間の授業の場合とても忙しいのです。ゆっくりと、授業時間内に演習をやったりする時間はなかなかとれません。

 

 

私は、阿部内閣の時に、大声で警鐘を鳴らしました。少なくとも数学においては、大幅に授業時間がカットされてしまいました(それまでは2,3年生は週4時間あった)。総合的な学習を入れたためです。そのために、数学は大きな被害をこうむることになったのです。

 

児童生徒が算数や数学をできないから苦手な教科の時数は減らしてあげよう、などというのは本末転倒も甚だしい。

できれば、算数も数学も、毎日授業があるのがいいのです。

 

公立中学校は、教師が指導力を高めなければ、今後十年間以上、学力低下の問題には太刀打ちできないでしょう。

これには、家庭教育力の低下の問題もあります。

 

そのようなわけで、教師の指導力の低下の問題と、家庭の教育力の低下の問題は、両方ともクローズアップしてみてみる必要があります。

さらに、教師の指導力が問われるのは、その大御所である文科省の指導要領に大きな欠陥があるからなのです。その欠陥を補うだけの指導力を、教師は開発しなければならないのです。この問題もクローズアップしてみる必要があります。

 

たとえば小学校の算数の最大の課題である「分数」を取ってみましょう。3年生から初めて6年生で分数の割り算を学ぶようになっています。そして、大半の児童が「よく分からなかった」と言って中学生になっていくのです。

なぜでしょう?

少なくとも3年生の時にはまだ楽しかったはずです。

いいえ。帯分数が早くも出てきてしまって、嫌になっていった児童がいるでしょう。帯分数は最後の最後に持ってきたんでいいのです。面倒くさいからです。

4年生で2÷3= が出てきて意味がわからなくて嫌になった児童もいるでしょう。これも分数の割り算を学習した後で、学べばいいのです。

このような学年を超えた大きな落とし穴が、小学校の分数にはあります。

 

さて、中学校で、授業時間数に限ってみてみましょう。

少なくとも、中1と中3については、数学は教えやすくなったのは言うまでもありません。時間数に余裕ができて、枠組みが緩やかになったからです。(もちろん指導力のない教師にとっては、授業数が確保されたからと言って教えやすくなるわけではないのですが。)

 

しかし、時間的余裕のない中2については、ベテランの教師であってもかなりの研さんを積まなければなりますまい。ただでさえ「わからない」という図形の証明が、初めて出てくるところだからです。丁寧に教えなければならないからです。時間に追われながら教えたのでは、定着よりも何よりも「わかる」こと自体が無理になるからです。

 

 

 

 

 

 

 

 

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