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| お問い合わせ 027.正五角形の作図(2) あれは、忘れもしないM君のこと。作図に入ったとたん、それまであまり成績のぱっとしなかったM君が、学年一光り出した。 その意欲がとにかくすごい。 そして、例の正五角形の作図である。 ある日、Mくんが私を呼んで、正五角形の作図をやるから見てくれという。 見事、ピタゴラスの発見したあの作図法でスイスイやってしまった。 中学1年生が自分で発見できることではない。誰かに教えてもらったのかと訊くと、そうじゃないという。 そして、彼は1冊の本を出してきた。それは、ある専門的な技術書で、彼の父親が持っていたのだという。それを借りて、独学で勉強したのだ。もちろん、作図の仕方を理解して覚えたということである。どうして、そのようにしたら正五角形になるのか、理由がわかったというのではない。(それは1年生にはムリである。) あれから20年以上たった今も、あのM君の顔がはっきりと浮かぶ。 あの、彼のエネルギーが、今もありありと伝わってくる。 すごい! 彼は、大人の専門職も負けるくらい、難しい作図をどんどん習得していった。 その中には、確か、角の3等分の作図もあった。(えーーっ!? いったいどんなやり方?) さて、おそらく、厳密に解決しようとしたら、M君がこれほど光り輝くことはなかっただろう。 中学3年生の後半にやっと三平方の定理を学び、三角形の相似を学んでやっと、正五角形の作図は解決できる。 ところが、実際には、そこにたどり着くまでに息絶え絶えになってしまう生徒が大半であろう。 ここなのである。いろいろと高度な内容を学習して、いよいよ正五角形の解決編に入れるというときには、もう大勢の生徒が着いて来れてないという状況がある。 おそらく、M君も。 ということは、M君は、ここで、この1年生の段階で、正五角形の作図というテーマに触れる機会があったからこそ、あのように、青春の一ページを輝かせることが出来たのだともいえる。M君と正五角形の作図との、大切な出会いだったわけだ。 それにしても、さびしい。 M君を初めとする、あの1年生のみんなのあふれるエネルギー。 それが、どうして、中学3年間で枯れてしまうのか??? あのエネルギーを、なぜ、中学3年間で昇華できるように指導してあげることが出来ないのか? まさに、教える側の責任である。 21世紀の、算数・数学指導。 ユークリッド幾何学を学んだあと、正五角形の作図の解決という人類の文化遺産に触れて、生徒たちみなが胸をときめかせるようにできないものか?? 20世紀の指導法では、それは到底ムリなことであった。ごく一部の「優秀な」生徒だけが垣間見ることが出来る世界だった。 それは仕方がない。 しかし、時代は進んでいる。 指導法を進化させることは出来ないものか? 今地球上に居るすべての教育者、そして学者に呼びかけたい。 そのような、原理、原則、システムを、創造できないものか!??
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